スーパー堤防事業と一体の区画整理事業に直接施行なし~第二回区議会定例会補正予算審査②

 国土強靭化政策により、不要不急の公共事業が復活している、その筆頭がこのスーパー堤防事業と言えるでしょう。当該地は、区の中でも最も土地が高く、地盤が強固、河川曲線の内側に位置しており、こんな大がかりな治水事業などそれこそ不要。河川敷ではかつて、野球場のピッチャーズマウンドさえ水に浸かったことはないとの住民の声。 

 とはいえ、区の先行買収によりすでに20軒が住み慣れた当地を去り、地域内には空地が。スーパー堤防化することで、莫大な国費をかけるより、もはや通常の区画整理だけで十分区が主張するまちづくりの課題は解決されるはずです。 

 本来であれば国と区、それぞれ別個の事業です。そして、今回の一斉移転は、国のスーパー堤防事業である一斉盛り土に起因する措置。であれば、土地区画整理事業施行者である区が強制権能を執行することができるのかどうか。こうした個人の基本的権利を侵しかねないことが、国と区の基本協定なる、住民不在の、行政の都合だけが考慮された取り決めによってなされようとしていることに大いに疑問を感じます。だからこそ、答弁のとおり、これまでにこのケースにおける強制執行の前例がないのでしょう。

  さらに、国土交通省は、スーパー堤防事業そのものについても、都市計画決定をするよう通知してきましたが、それもこの間、なし崩しになっています。以前、この点を議会質問した時の答弁は、「必要があればする」と。必要か否かは行政の判断。これも行政に都合のいいハナシです。

 このポイントは、今月のスーパー堤防取消訴訟第7回口頭弁論でも、裁判長から「スーパー堤防事業を都市計画事業としてやるのか」と問われ、被告・江戸川区は即答できず、「国に確認する」としています。

  今後、区は、6月28、29日「移転説明会」、7月中旬「仮換地指定の通知」、8月~10月「移転補償契約」、12月中旬「建物等移転除却」、2014年1月から29か月かけてスーパー堤防化、その後区画整理を行い、2016年半ばをめどに生活再開としています。 

 しかし、取消訴訟を起こしている反対住民は、「仮換地指定通知」が届いた時点で即座に執行停止の申し立てを東京地裁に行う方針。 

 「仮換地指定」とは、区画整理事業終了後、権利者にどの土地を割り当てるのかを通知するものですが、これにより、建物所有者らは、建物の取り壊しを求められることに。「仮」の換地指定の名のもとに、道路をつくり、家を移し、と既成事実を積み重ね、その上で「仮」がとれて最終的な「換地処分」になるのです。「仮」が付いていても、紛れもない行政処分。実は「仮」ではなく、どんどん工事がすすんでしまう事実上の最重要局面と言えます。

  これまでも、住民を省みない強硬姿勢を貫いてきた江戸川区。直接施行の強行は許されません。