スーパー堤防も区画整理も基本がくずれた江戸川方式~公共事業改革市民会議が再質問書提出①

 

質問を手渡す公共事業改革市民会議・橋本代表(右)。左は加藤広報係長。新聞6紙が取材に訪れた。

公共事業改革市民会議では、9月末に提出した公開質問書に対する江戸川区長の回答を受け、11月8日、再度公開質問書を提出しました。地元住民が直面している今後の生活への大きな不安、終の棲家である現住居から強制的に立ち退きを迫られている地元住民の苦悩といった重要ポイントに対する明確な回答がなかったためです。 

当日は、市民会議から橋本良仁代表をはじめとする5名が出席。区側からは、総務部広報係長、区画整理課調整係長及び同職員の3名が対応しました。 

25年以上にわたり、全国の道路問題をはじめ、多くの問題を抱える公共事業に対峙してきた橋本代表は冒頭、「これほどの短期間に除却をした上での退去を求める事業を他に知らない。道路問題にも強制収容はあるが、本事業は常軌を逸しているとしか言いようがない。驚きだ。どんなに素晴らしい事業だと仮定しても、住んでいる方を追い込むなど許されない。何とかして一旦止めて、住んでいる人が区政に協力できる体制をとるべき。」と語り、「私たちは公共事業問題の中でも特に本件を重視している。終の棲家を奪うことがどれだけ重たいことかみなさんもわかるだろう。事業ありきではなく、命、安全を守る立場でやってほしい」と続けました。

今回の質問書では、住民の今後の生活について、具体にどうしたら高齢者が換地先に戻って住むことが可能なのか、3年以上に及ぶ仮移転は寿命にもかかわる極めて過酷な仕打ちではないか、事業遅延の責任問題の根源は、スーパー堤防と一体となった事業にあるのではないかなど、10項目についてさらに踏み込んだ質問をしています。 

やはり道路問題に取り組んできた長谷川茂雄さんは「補償基準に基いて生活再建は本当にできるのか。手持ち資金が必要になるだろう。住民にいちばん身近な自治体として手厚い補償を用意すべき。除却通知など特例だ。行政として最低限すべきことをしていない。延期しても誰もとがめない。」と語りました。 

すでに同様の共同事業が終了した(と言っても、まち側は絶壁で基本形を成していない)平井地区では、「建物等除却通知照会」は出されませんでした(上記回答P7参照)。つまり、最後には全員の合意をとり、事業化したということ。一方で、本件地区では反対の権利者も多い中、拙速にこの通知照会が出され、区は、12月16日という除却日までの取り壊し及び移転を求めています。区内で同じ事業を施行するにあたり、その進め方において、双方の住民には不公平・不平等が生じている状況であり、上記の指摘になったものです。 

水源開発問題に長年取り組んできた遠藤保男さんは「そこに住んでいる人が生活しやすいようにするのが区画整理。しかし平井地区の例では約半分が戻らなかった。本件もすでに出て行った人は多い。これでは事業の基本が崩れている。どうなのか?」これについては、担当係長から「原則戻るのが基本」との回答があり、「80~90%は戻らなければやっちゃいけないだろう。まずこれを考えるべき」と指摘しました。