計画変更なき直接施行は許されるか?~第二回定例会議案審査から

 本日、区議会総務委員会にて議案審査が行われ、北小岩1丁目東部土地区画整理事業の直接施行費用について、江戸川ネットも委員外発言を行いました。(発言者は新村さん) 

①    事業計画では盛り土は区が行うことになっている一方で、昨年5月の基本協定により、盛り土はスーパー堤防事業として国が行う、ともなっている。現状、盛り土の主体が2つあるが、盛り土の施行者を国に一本化(変更)するために、事業計画の変更手続きが進行しているという認識でいいか。 

区画整理課長)「事業計画」の「造成計画」に「区が盛り土する」と書いていたものを「高規格堤防が整備された上にまちづくりを行う」と書き換えていく。 事業計画の中で、高規格堤防をつくるという変更をしているわけではない。

② 通常の「移転」通知ではなく、全員に「除却」通知が出ているのは、これまでの区画整理と明らかに異なると認識するが、どうか。

区画整理課長)一つエリアで行うので「除却」。通知する手続きは変わっているものではない。

③「移転」ではなく、「除却」することと、スーパー堤防事業は関係あるか 

区画整理課長)区画整理法の中で進めている。

④「移転」ではなく全員が「除却」し、一斉に更地にしなければならないのは、スーパー堤防事業の障害にならないようにする、というのが事実だと認識するが、どうか。 

区画整理課長)スーパー堤防が整備された上に造成し、道路、まち、宅地をつくり引き渡す。土地区画整理上必要な工事を進めていく。

⑤   一斉の除却、明け渡しは、スーパー堤防事業のためにしなければならないことは明らか。しかし、現存する2つの施行者のうち、優先されるのは土地区画整理法に基く事業計画に明記された江戸川区であり、現状、国が盛り土造成することはできない。国ができるとすれば、それはどの法律の何条に基づくものか? 

区画整理課長)河川法の中の手続きである。 何条かはわからない。

⑥    直接施行のような強制執行は、私人の権利に踏み込む強権力であり、これを行使するためには法の根拠が必要だが?

区画整理課長)区画整理法77条に基く。 

⑤  国のスーパー堤防事業を「土地区画整理事業計画」の「造成計画」に盛り込むことで、「共同事業」が明確になり、初めて国が正式に事業に着手でき、直接施行の根拠も持てる。それを担保するための事業計画変更でもあるのでは? 

区画整理課長)区画整理の中でスーパー堤防をつくると言っているわけではない。 

 課長答弁は疑問点に正面から答えるものにはなっていません。「混同しているのでは」との発言もありましたが、それはどちらでしょうか。スーパー堤防は河川法、区画整理は土地区画整理法。すべてこうした単純な理屈で済むなら、なぜ今、土地区画整理法の「区画整理事業計画」の「造成計画」中に、河川法の「高規格堤防」という文言を追記する手続きを取り、東京都知事から認可を得るというプロセスが必要なのか、説明がつきません。瀬端総務委員の「法的な手続きを前に直接施行するなど、こんな例は全国にあるのか」との問いにも、課長は「わかりません」と。 

 「施行者が変更になっても、換地や盛り土の形状に変更はない。事業計画の変更がされなくとも本事業は進められる。」との説明は、行政の勝手な言い逃れです。予算執行は、まっとうな事業計画のもとになされるものであり、そうでなければ都市計画行政とは言えません。 

 土地区画整理の「事業計画」の中に、きちんと国との「共同事業」であることが盛り込まれなければ、国は盛り土できず、直接施行もありえません。まだ7軒もが残っている中で、強制執行をするなど前代未聞であり、このような行政が許されるはずがありません。重要なポイントがきちんと整理されず、法に定められた大事なプロセスを置き去りにしたまま、直接施行に手をかけようとしている区の姿勢は常軌を逸しています。

 24日、江戸川ネットの本件に関する一般質問は、新村いく子のHPをご覧ください。