十分な説明、万全の安全対策を~衆議院国土交通委員会での北小岩スーパー堤防事業質疑②

 すでにお伝えしていますように、スウェーデン式サウンディング試験では、鉄のロッドが挿入できない強固な層が139ヶ所、全体の37%もありました。初鹿議員はこの点にも言及。

質問:れきがあったとのことだが、そうであれば、空間ができ、(ロッドが)入りやすいとも考えられるが。

答弁:一般論だが、この調査により固いものが確認されることがある。強固な層の下の地盤強度までは確認できないので、ボーリング調査を実施した。強固層の下の地盤強度や強固層そのものについて確認中。

質問:強固層はかなりの範囲に及ぶ。盛り土の材料がきちんとしたものでなかった可能性も否定できない。地元説明では、強度不足の画地ごとに掘削をして埋め戻して固めるとのことだが、当地区に50ヶ所も穴をあけていき、果たして全体の地盤強度はどうなのか。それで強度不足が解消されるのかにわかには信じがたいが、他の工法はどうか。

答弁:住民に説明した置換方法がいいのかどうか、現在行っている調査結果により対策工法を検討する。

質問:盛り土は最大5m。その盛り土をとることなく、地盤強度不足を解消することは可能なのか。

答弁:穴をあけて、さまざまなものを混ぜる混合処理というものもある。すべて置換をするだけではないと考える。

質問:地権者はここに家を建てる。今のような説明では、更地にして盛り土をやり直すくらいのことをしなければ、本当に強度不足が解消できるのか、そう思う方々も多いのではないか。

答弁:対策工事後に、ちゃんと調査を行い、安全強度を確認する。

 質問の冒頭、「スーパー堤防 地盤強度不足」との見出しで朝日新聞が掲載した記事内容の確認もなされました。江戸川下流河川事務所副所長が「想定外だった。他のスーパー堤防予定地では地盤改良してから盛り土するが、北小岩では元の地盤に問題はないと判断してそのまま盛り土した」と話したことについて、「このとおり想定外の事態だったのか。本来すべき地盤改良をしなかったのは事実か」と質問。 

 これについては前回ご紹介したとおり「高規格堤防としての盛り土は安全」と質問趣旨と異なる答弁を繰り返し、議員からは「聞いたことに答えて」、委員長からも「質疑をきちんと聞いて」と諭され、ようやく「もともとの地盤も安全性を有していたと思う」と何とも説得力のない答弁に。 

「思っていた」だけで、そうではない結果が出たから「想定外」と答えたことが確認されました。

 今後万全の安全対策を講じること、また補償をすることは当然の責務ですが、不具合発覚から3ヶ月が経ちながら、原因が説明されず、対策工法も住民説明とはまた異なる検討案があるなど、右往左往している観は否めません。そもそもの基礎地盤調査、盛り土の品質管理といった基本的な対応自体に問題があったということでしょう。これまで施行者として宅地地盤調査をしてこなかったから不備が判明しなかっただけのこと、と受け止めるほうが自然です。

 いいことも悪いことも、包み隠さず明らかにし、その結果として、十全の具体の対策について丁寧に説明をし、納得を得ることです。現状への丁寧な対応と同時に、制度そのものの点検・見直しは不可欠です。この期に及んで「盛り土は安全」などの強弁は、住民にとっては逆作用しか生み出さず、国のプライドを保つことで解決する問題ではありません。

 質問の終盤、大臣が存続を表明したとき、江戸川区でのスーパー堤防を推進してきた大西英男国交委員から「そうだ。不安をあおるな!」との大きな野次が飛びました。不安をあおるどころか、不安を引き起こしたことの責任の一端でも感じていただき、野次ではなく、正々堂々と質問者として発言していただきたいところです。