スーパー堤防に重大な瑕疵~江戸川区スーパー堤防差止訴訟控訴審第1回口頭弁論①

23日(火)午後3時から、東京高等裁判所101号大法廷にて、江戸川区スーパー堤防差止等請求控訴事件(第19民事部・都築政則裁判長)の第1回口頭弁論期日が持たれました。(一審判決についてはこちらから。)

国及び江戸川区が着席する被控訴人席には総勢18名が居並び、70名ほどの傍聴者が見守る中、控訴人側4名が陳述を行いました。

まずは、控訴人のおひとり、宮坂健司さんから、スーパー堤防事業により、いかにご家族、ご自身の心身に重篤な支障が起きたか、また、家族間にあつれきが生じたり、地域コミュニティの破壊がもたらされた事実がまず語られました。
そして、本年1月25日の一審判決以降に発覚した地盤強度不足問題に言及されました。

「そもそも人工的な盛り土の上に家を建てて住むことに非常に不安を感じていたが、この心配が現実のものとなった。所定の強度が不足していたり、はるかに超えていたり、地盤が不均一であることが判明した。国は、規定の方法を守ったから堤防として問題ないとし、事前に強度の確認方法を確認しておけば問題は生じなかったと言うが、一体だれに向かって言っているのか。

 この盛り土工事は私がその上に住んでもいいという高規格堤防工事であり、宅地としての地盤強度が確保されていなければ、高規格堤防として問題がある。よって、(宅地としてだけでなく)堤防として問題があるのだ。(全面が堤防である以上)宅地以外の場所(道路など)を対策しないのは、高規格堤防として重大な瑕疵である。(強度に問題のある箇所に)まだらに固化材を注入され、不均一がさらに進む高規格堤防の新古品の一角を割り当てられ、そこに住んでもいいと言われるが、私の土地所有権はどこにいったのか。そんなものは受け取ることはできない。いっそ買い上げていただきたい。人を住まわせるなら、そこにいる人をちゃんと見る視点が欠落している。

 本事業が私や家族の人生設計に与える影響は計り知れないほど大きい。これに対し、行政の姿勢はあまりにも無頓着で事業もまともなものではない。もしそれで良しとするなら、しくみが間違っているのだ」

スーパー堤防事業に翻弄された挙句、裁判を通して主張してきた「盛り土が安全とはほど遠いしろもの」であることが現実のものに。一審判決は、原告側の具体の指摘に対し、正面から向き合わず、きわめて稚拙な作文に終わりましたが、今回はこの重大な事実を前にその姿勢を改める必要があります。

次に陳述された小島延夫弁護団長は「被控訴人は主張を立証する資料をすべて提出し、真正面から議論すべき。そうでなければ裁判所の対応も問われる」と強く指摘しました。

東京高裁の控訴審は8割がた1回で終結するとのことですが、第2回期日は8月1日(火)午後3時から101大法廷 で行われることに。控訴人側は3名の証人についても申請しているといいます。

工事差し止めについて、一審判決は、スーパー堤防事業が完了したことを理由に、訴えの利益がないとして却下しましたが、これからやり直す以上、完了したとは言えないのでは? との素朴な疑問もわいてきます。

閉廷後、報告集会で語る宮坂さん。(参議院議員会館)