スーパー堤防の宅地利用は安全か?

9月25日、第3回「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」が持たれ、とりまとめ案が公表されています。

高規格堤防は、首都圏の江戸川・荒川・多摩川と大阪圏の淀川・大和川を対象とする事業ですが、なぜかこの検討会は国交省関東地方整備局が実施。昨年の「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」は国交省としての実施でした。高規格堤防の「宅地利用」整備は「効率的」な整備同様、東西共通のはずだと思われますが・・。江戸川区北小岩の本事業で、地盤強度不足という大失態を起こした関東地方整備局が、致命的な事態からの脱出をいち早く図りたかった、ということでしょうか。

わずか2ヶ月足らずという異例のスピードですすんだ今回の検討会では、首都圏における対象沿川自治体の4都県、11区市、1社にアンケートも実施。その結果も公表されました。

盛り土を伴う区画整理事業において地盤強度に関する目標設定をしたか 

 「した」4自治体 / 「しなかった」1自治体 

・(4自治体に対し)盛土造成前に地盤強度調査をしたか

 「した」3事例 / 「しなかった」4事例

・盛り土造成中に地盤強度調査をしたか

 「した」事例はなし

・盛り土完成時、地盤強度調査をしたか

 「した」6事例 / 「しなかった」1事例

・引き渡し前に地盤強度調査をしたか

「した」2事例 / 「しなかった」5事例

この実態からは、地盤強度不足は、北小岩以外では露呈していないだけで、実際にはこれまでに造成された他の地区でも起きていると推察されます。すでにご紹介しているとおり、荒川、利根川の高規格堤防では、沈下、崩落が実際に起きており、国交省もその事実を認めています。こちらから。

北小岩で用いられた盛り土材は、外環道、六本木再開発、東大病院建替えの際発生した残土です。北小岩の地盤強度不足の画地は対策工事を実施しましたが、改良地とその周辺とは結果的に強度が不均一となってしまっています。水がたまりやすい箇所ができていることも予想され、豪雨災害が頻発する今日、一面の宅地としての安全性への懸念はぬぐえない―。これが現実ですが、検討会はこの現実を直視してはいないようです。

第3回検討会が持たれる4日前、山添拓参議院議員による国交省レクチャーに参加させていただきました。豪雨被災地を視察された山添議員は「今日の水害は河川整備の遅れから被害が拡大している。ダムではなく河川整備をきちんと行うべき。スーパー堤防は河川整備と言えるのか。スーパー堤防に固執することで他の整備が遅れている」と指摘されました。(写真)

本西みつえ区議も参加(前列右端)。流域減災推進室の担当者からは「(スーパー堤防は)まちづくりと一体整備は宿命」と。9/21 参議院議員会館にて。