スーパー堤防裁判、いよいよ証人尋問へ~江戸川区スーパー堤防差止等訴訟第5回控訴審報告②
第5回口頭弁論期日では、都築政則裁判長から、控訴人側が求めていた人証について、採用することが告げられました。
冒頭、裁判体(民事19部)の構成員が変わった報告があり、そのあと「被控訴人・国は『回答書に書いてあるのでその必要はない』としているが、その結論に至った理由について合理的な説明が必要」と人証の必要性を説かれました。
人証に立たれるのは3名の方々。
〇元東京都環境科学研究所研究員で水源開発問題全国連絡会共同代表などを務められている嶋津暉之さん。行政に開示請求することで、通常は知らされない重要な情報を収集・分析し、その知見を市民運動に活かされ、本裁判でも専門家として、スーパー堤防の不要性について意見書を提出されています。
〇国交省関東地方整備局江戸川河川事務所長として、本件盛土工事の管理及び地耐力不足発覚後の対策工事を担当され、現在は国交省と関係の深い一般財団法人水源地環境センター水源地環境技術研究所研究第三部長に出向されている金澤裕勝さん。
〇国交省関東地方整備局河川部河川調査官の青野正志さん。本件スーパー堤防事業に最も精通されている担当者として、本件についての国会質問の際には国土交通大臣の答弁をサポートされ、裁判でも被控訴人席の前列に(総勢16名)。
嶋津さん、金澤さんは控訴人からの人証申請、青野さんは双方申請。裁判長は、金澤さんも被控訴人側であるため、国に対し速やかに人証申請を出すよう求められました。そのうえで、当初控訴人が求めていたお二人、本件事業決定の際、国交省関東地方整備局河川部長を務められていた泊宏さん、同江戸川河川事務所長を務められていた宮川勇二さんは却下となりました。(当時の状況はこちら)
人証に立つ順番について、控訴人は「嶋津さん、金澤さん、青野さん」の順番を求めましたが、国は「嶋津さん、青野さん、金澤さん」の順を主張。これに対し、控訴人が「職務に関わっている時系列からして金澤さんが先」と述べたことを受け、都築裁判長は「勤務期間がずれていることから、(発言に)重複がないように」とし、順番については裁判所預かりとなりました。時間は、それぞれ主尋問・反対尋問40分以内。
次回第6回期日は、2019年1月18日(金)午後1時~5時 と決まりました。
国を相手どった裁判での文書提出命令に人証採用。いずれも画期的な指揮であると言えます。
今回の地耐力不足が生じた原因・対策・今後の影響、本事業の費用便益費計算をはじめ、語り切れていない本事業の内実について、施行当事者・国が初めて法廷で語ることになります。数々の不備が露呈している本事業について、どこまで語りつくせるのか。あるいは語られないのか。ぜひ大勢で傍聴しましょう。