これからの治水を考える~国会公共事業調査会(仮称)準備会の取り組み
21日(木)夕方、第8回国会公共事業調査会(仮称)準備会が衆議院第一議員会館にて開かれました。
本会は、一度決められたらいかに問題が露呈しようとも、社会状況が変わろうとも、そのまま突き進む公共事業のあり方を変えていこうと、超党派の国会議員による「公共事業チェック議員の会」と市民、有識者の連携により、公共事業への第三者評価を取り入れ、公共事業政策を適切に見直す道筋をつくることを目指して活動しています。
台風19号により、河川堤防の決壊、氾濫が発生。広範囲に甚大かつ深刻な被害がもたらされたことを受け、テーマを急きょ「台風19号被害と今後の災害対策(治水)」に変更。今後も同様の台風にみまわれる可能性があることから、国土交通省参加のもと、これまでの「防災」公共事業を振り返り、その課題と今後のあり方について検討しようと企画されました。
国交省によると「鬼怒川決壊により、堤防の裏法尻から崩れていくという破壊のメカニズムが明らかになった」ことから、「壊れにくい堤防整備により避難の時間をかせぐために、いちばん壊れやすいところをブロックで固める」、「河川の水位を落とし、堤防に負荷をかけない河川改修を行う」。この2つの越水対策を行っていくとの説明がありました。「復旧の見通しは来年の雨期までとしているが、それまでにできるかどうかはわからない」とのこと。
これに対し、本会で冒頭、昨今の豪雨問題についての課題整理と、今後のあるべき治水について発表された嶋津暉之さんから「これまでの堤防強化は天端のアスファルト舗装と、裏法面については法尻のみ。裏法面全体を強化することがいちばん大事。なぜやらないのか?」との指摘が。「今は(前述の)このやり方を実施している。100%壊れない、というのは難しいが、どうしたらうまくできるか、効率化の検討をしている。(指摘の方法について)否定しているわけではない」との回答がありました。
スーパー堤防については、立憲民主党の初鹿明博議員、共産党の清水忠志議員から発言がありました。「真ん中に道路を通してしまっては、そこに水が入ってしまう(ボックスカルバート)」「介護が必要な人が増えるのにまちが坂になるのはどうか」「B/Cが悪すぎる」。これについては「スーパー堤防整備の担当ではないが、まちづくりとしてはいいのではないか」との回答が。
もはや、スーパー堤防が「治水」事業の要諦でないことは国交省も認めざるをえない?
立憲民主党の嘉田由紀子議員は、滋賀県知事のときに制定された「流域治水条例」を各地に広げていくために、国が予算を付けるべきとの意見を述べられました。
ダムの事前放流、緊急放流の危険性の指摘について、国交省は「気象庁の予測は広範囲で(ダム周辺の)ピンポイント予測はムリ」と。実際、城山ダムでは、放流すると言ってはやめ、またする、などと告知が二転三転しました。雨が激しくなれば避難できなくなり、逃げ遅れるリスクが増します。放流したとしても、そのあと雨が降らなければ今度は利水面で問題が発生します。「ダムに頼らない治水」への転換、これに真剣に取り組まなければなりません。