大規模広域災害の時代、求められる対策は?~「第4回江戸川防災勉強会」

昨年10月の台風19号で、広域に甚大な浸水被害が起きたことを受け、国土交通省は1月31日、特に被害が大きかった7水系において、再発防止のため、緊急治水対策プロジェクトを実施すると発表。被災以降、初めて具体のメニューを示しました。

対象水系は阿武隈川信濃川吉田川久慈川、那珂川、入間川、多摩川。総予算は4213億円。被害箇所の「災害復旧」に600億、被害箇所以外の「改良復旧」に3600億をあて、台風19号と同レベルの水害発生においても越水を防ぐ構造にするとのこと。河道掘削や遊水地、堤防整備の他、都県・市区町村が連携し、浸水リスクを考慮した立地適正化計画作成などのソフト対策も行い、総合的に進めるとしています。今回、深刻な被害となった阿武隈川水系には1354億、信濃川水系には1227億円を投入します。

多摩川には191億円をかけ、令和6年度までに河道掘削、樹木伐採、堰改築、堤防整備を行うとのこと。具体的には、世田谷区の無堤防区間540mにおいて堤防を整備、府中市から川崎市及び大田区付近においては、河床にたまった土砂を取り除くことで水位を低減させるとしています。

入間川流域では、遊水地の確保、土地利用の工夫も盛り込まれました。遊水地は、台風19号により堤防が決壊した都幾川・越辺川の合流点(東松山市)、越辺川と入間川の合流点(坂戸・川越市境)付近に計画されています。また、川沿いに緊急避難場所となる高台整備、浸水想定区域に災害危険区域の指定、家屋移転や住宅の嵩上げなど防災集団移転促進事業なども検討することになりました。

荒れる気候の時代、今後も豪雨に見舞われるであろうことを前提に、各地の無堤防区間に堤防を築堤する、脆弱な堤防を強化することがまず求められます。理想は越水しない堤防。しかしたとえ越水したとしても破堤に至る時間を引き延ばすことができ、被害を最小限に抑えるために、どのように強化・整備していったらいいのでしょうか?

「江戸川防災勉強会」では、3月15日(日)午後2時~4時、タワーホール船堀2階「福寿」にて、「台風19号の水害に学ぶ~大規模広域災害の時代に求められる対策とは」をテーマに4回目の勉強会を実施します。講師は堤防とダムの専門家、嶋津暉之さんと石崎勝義さん。どうぞご参加ください。ぜひご一緒に考えましょう。

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