篠崎も軟弱地盤改良へ~スーパー堤防と一体の区画整理事業

上篠崎1丁目地区(一部3丁目)では、スーパー堤防事業と一体の土地区画整理事業の工事がこの11月にスタートします。施行面積は約4ヘクタール、総事業費は約70億円。スーパー堤防事業費約60億円。

今月は、2度にわたり、住民の方々と、そしてまちづくりの専門家と計画地を歩き、区当局へのヒアリングも行いました。

当地で地元住民への説明が開始されたのが2004年のこと。06年には緑地事業(32億円)、2014年には街路事業(72億円)、15年には篠崎公園事業(77億円)がそれぞれ認可され、16年2月に土地区画整理事業が認可されました。そして同年4月、国と都と区による基本協定が締結されたのです。それによると、区画整理の工期は2017年から2026年までの10年間とされており、約3年遅れのスタートに。

区はすでに1万㌶を買収。工期は1期から4期までとされていましたが、3期になる可能性も。。私道の位置変更につき軽微な事業計画変更を経て一次移転先の造成工事に入るとのこと。

この間、事業認可前には87軒だった権利者も、認可時には50、現在は34軒に減りました。北小岩1丁目の同事業では仮住まいを経て、現地に戻るという2度の移転を強いられましたが、上篠崎では1度のみで、住民の負担は軽減されています。それでもなお、住み慣れたまちをあとにした方々が大勢いる事実。換地設計案への意見書が7件出されたことで、現在、土地区画整理審議会にて意見が交わされています。こちらをどうぞ。

先行した北小岩では、宅地を建てるための地盤強度が確保されていなかったという本事業の致命的な欠陥が露呈。上篠崎で同じ過ちを繰り返してはならないとの願いは、住民、施行者共通です。

計画区域内では、が1991年から2014年までに14本、が3年ほど前に2本のボーリング調査を行いましたが、すべての地点において対策工が必要であるとの結果になりました。さらに区は、一次移転先にて、北小岩と同様、画地ごとに5ヶ所のスウェーデン式サウンディング試験により地盤強度を調査しましたが、やはりすべての宅地において対策が必要との結果に。なぜ「やはり」か? 実は2ヶ所の一次移転先は従前、セロリ畑とトマト畑だったところ。軟弱地盤であることは以前から指摘されていました。

当地の堤防高は6.1m。まち側にその30倍の幅で盛り土するスーパー堤防範囲は堤防から約180mとのこと。これと一体的になされる区画整理であれば、地盤対策は本来国の仕事ですが、この一次移転先の地盤改良工事を行うのは江戸川区。なぜなら、一次移転先は2ヶ所とも国の盛り土の及ばない平地。しかも1ヶ所は計画域から300mも離れた、いわゆる「飛び換地」(上篠崎3丁目)。国のスーパー堤防事業範囲ではないため、区の責任で行うことになりました。一度移転のための苦肉の策が招いた結果でしょうか。

対策工法は主に「中層混合処理工法」がとられ、既存家屋が隣接する「飛び換地」では、「機械攪拌式深層混合処理工法」がとられるとのことです。北小岩で起きた地盤強度不足への対応策は「中層混合処理工法」と説明されていましたが、今回の地元住民への説明図を見ると、「機械攪拌式深層混合処理工法」こそが北小岩で実施された工法と推察されます。重要な住民説明の場で、なぜこのような混同が起きたのでしょうか?

区画整理事業の換地の原則「照応の原則」によれば、「土質」も「照応」なのだそうですが、対策工による「向上」は必須です。

「特別緑地」として保全される浅間神社。周囲のスーパー堤防盛り土とどう調整されるのか?