スーパー堤防裁判の成果~江戸川区スーパー堤防裁判報告集会より①
昨年10月29日、「江戸川区スーパー堤防差止等訴訟」の上告を最高裁が棄却、9年間にわたり、3次にまで及んだ裁判が終結したことを受け、3月6日(土)、タワーホール船堀「福寿」において、「江戸川区スーパー堤防裁判報告会」が開催されました。
コロナ禍による「緊急事態宣言」の中、広く、換気機能のある会場を確保。マスク着用、検温実施、3密回避の設営を行うなど、できる限りの対策を講じて実施され、会場定員(140人)の約半分の参加者が集まりました。オンラインでの参加もありました。
弁護団事務局長の大江京子弁護士のあいさつでスタートした集会は、弁護団長・小島延夫弁護士の「裁判報告」から始まりました。
行政法を専門としていたことから、早稲田大学法学部同窓の大江事務局長から相談を受けたこと、1989年に水辺の環境保全の事案で奇しくもスーパー堤防事業計画地と接点があったこと、2008年、早稲田大学ロースクール教授だったとき、学生の一人が、住民被害が深刻だとして、スーパー堤防事業を論文のテーマとしていたこと、などから、社会に奉仕する必要があると考え、団長を引き受けた、とのお話がありました。
小島団長は、この裁判の成果について、3つのポイントをあげられました。
①裁判の公開により、スーパー堤防の問題性を社会的に広めることができた。
問題とは、スーパー堤防の必要性・有効性・効率性についてであり、さらに、住民に二度の移転を強いるという、通常の区画整理ではありえない不当性や被害の大きさ、また、スーパー堤防を築堤できる法的根拠が脆弱である、ということ。
②土地の安全性に関する情報は誰でも知りうるものだということが明らかになった。
国が黒塗りした地盤データについて、文書提出命令の申立てをしたところ認められた。その土地は安全なのか危険なのか、有害性については誰でもわかるものでなければならない、と判示された。
③政治におもねる司法の課題が明らかになった。
これは日本の民主主義の問題。行政というよりも、国の政治の動向におもねる状況にある。あのトランプ前大統領が指名した裁判官が何人もいるアメリカ連邦最高裁判所でさえ、トランプ側が大統領選挙結果を認めないよう求めていた裁判で、その訴えを退けている。いかに独立するか、日本はどう民主主義を実現していくのか。
小島団長は、敗訴となったことについて、「力不足を深くお詫びする」と話され、司法の課題については、「いつの日か勝ち取っていけるよう、こういうことがないよう全力を尽くしていきたい」と話されました。
*高木一昌弁護士による「江戸川区スーパー堤防訴訟 終了報告」をどうぞお読みください。(当日配付資料)