北小岩スーパー堤防事業、担当部長が前部長と異なる見解

住民主催、区との対話集会傍聴記①

スーパー堤防事業を前提とした区画整理事業が強行されようとしている北小岩当該地区住民と区の担当部長との対話集会が、16日(土)、住民主催で開かれました。昨年9月に続き、今回で2度目。この春、部長が替わっており、新部長との対話は初めてです。

 まず、昨年の集会で前部長が披露した珍説、「流れはまず下総台地にぶつかり、そこが破堤して跳ね返り、北小岩側が破堤する。だから北小岩にスーパー堤防が必要」という説について、現部長はどう考えるか、という質問が。

「一般論として、原野を蛇行するような自然河川ならありうるだろうが、一定の整備がなされている今の都市河川、北小岩では考えにくい」と明確に考えの違いを示しました。

 事業認可を控えた最終局面で、当時の担当部長が、北小岩でのスーパー堤防の必要性の根拠とした説に対し、異論を表明したわけですから「だから、北小岩では事業化する必要はない」と言ってもいいほどのこと。しかし、このあとは、事業認可取得を盾にしたと思える強硬発言が相次ぎました。
 
 「反対している少数意見も大事だが、多くの区民の賛成の意思も大事」。これは明らかに昨年暮れの、自治会などを総動員しての署名活動を前提にしたものでしょう。参加者からは「九州電力と同様、(区の)ヤラセによるものだ」という反論が。しかし「区としては、反対の意見があるからといって、事業を撤回するつもりはない。行政には執行責任がある」。

 また、「荒川沿川の方が脆弱で緊急性が高いのでは?」との質問には「どこが先、後ということではない。やれるところからやっていく」という何とも説得力のない答え。「それをもって行政責任と言えるか」という反論も。

 そもそも2006年8月から10月にかけて区が実施した「北小岩でのスーパー堤防事業施行」についての説明会では、北小岩のどの町会も反対しています。区の行政責任でスーパー堤防化を目論んだことについて、住民がきっぱりと拒否した経緯があるのです。
 
 国は今、本事業の見直し検討中であり、さらに前政権の安倍内閣でも、公共事業について「住民が反対している間は強行しない」としてきています。区としてももちろん「住民の合意なしにすすめない」と言ってきたことに照らし、参加者からは「地方自治体は住民に最も近い政府であるのに、こうした区の姿勢は傲慢である」との意見が。

 「今回の大震災で問題視された盛り土を今後実施することになるが、万が一のときはきちんと保障されるのか?」
「どこまで保障するということは言えない」
「今回の被害を受けて、スーパー堤防こそが最適な対応策と言うのであれば、きちんと言えるはずではないか。」「想定外で片付けられてはたまらない。」といった問答も。