見直し相次ぐ「学校選択制」①~江戸川区も改善に着手「当面は継続」

2012年9月17日 12時02分 | カテゴリー: 子ども・教育, 行政評価

 1996年(平成8年)12月の行政改革委員会の「規制緩和の推進に関する意見(2次)―創意でつくる新しい日本―」において、学校選択の弾力化について提言がなされて以来、学校選択制は一連の規制緩和の中で進められてきました。 

 最初の導入は三重県紀宝町で1998年(平成10年)、東京での第一号は品川区の2000年(平成12年)ですが、10年を経た今、全国で、また都内でも見直し、廃止の動きが出てきています。 

 栃木県鹿沼市が3年間の実施を経て2010年度にすでに廃止。群馬県前橋市でも「学校と地域との関わりを大切にする」「どの学校においても児童生徒に一層望ましい教育環境を提供する」との基本的な考え方に基づき、2011年度に廃止しました。長崎県長崎市でも「地域という観点を欠いていた」との反省に立ち、今年度から小中学校とも廃止し、地元の学校に通うしくみに戻しました。

 東京都は今年度、都内19区11市で学校選択制を導入していると、公表しています。その形態は、自由選択制、ブロック選択制、隣接区域選択制、特認校制、特定地域選択制の5つに分類されていますが、国分寺や清瀬、立川など、特に市部では、都は選択制導入自治体としているものの、市当局はそうではない、としており、都と市の間での見解の相違も明らかになりました。

 都内では杉並区が向こう3年間の周知期間を経て、2016年度(平成28年度)に現制度を廃止した上必要な見直しを行うとしていることはすでに知られているかと思いますが、さて江戸川区は? 

 中学校では2003年(平成15年)度、小学校では2004年(同16年)度から自由選択制を導入した江戸川区に対し、江戸川ネットは区民参加による評価を行い、見直すべき、との立場をとってきました。ようやく、保護者や地域及び学校関係者約1万3千人を対象としたアンケートを実施し、教育委員会事務局内で学校選択制検討会を開催。その結果、小学校では、一度学校選択の希望を出すとその後変更できず、本来の通学区域校にも戻れないしくみを改め、来年度より変更期間を設けることで、再検討の上慎重で適切な選択にしていくように変更します。小学校では導入当初より、選択の範囲を徒歩圏内としてきましたが、2010年度(平成22年)に、具体に「約1.2km圏内」と定めています。

 中学校でも、これまで選択による受け入れを全校30人程度としてきたところ、施設状況や本来の通学区域内の入学者数により、許容数が異なる現状に鑑み、2014年度から、受け入れ不可・15人程度・30人程度の3段階を設けることとしました。

 同時に、選択制の課題を解消するため「指定校変更制度」の改善にも着手。今後は、配慮する特別な事由がある児童生徒の指定校変更を優先し、その後選択制による選択を実施します。これにより、学校が入学者数を事前に把握でき、待機者の決定までの時間を短縮できるとしています。これに伴い、指定校変更の許可基準に「通学の安全」が追加されました。「通学の安全」に重きを置く考えは、3.11以降、複数の自治体で改めて重要ポイントとして見直されています。

指定校変更制度・・・一旦就学指定された学校に通うことが、必ずしも保護者の意向に合致しない場合に、保護者の申し立てにより市町村教育委員会がその市町村内の他の学校に指定を変更する制度。 2003年(平成15年)3月、学校教育法施行規則の一部改正により、市町村教育委員会が就学校指定校を変更する際の要件及び手続に関し、必要な事項を定め公表するものとされている。 

 公表された「江戸川区学校選択制の改善について」には「学校選択制を改善し、当面は継続する」とされており、依然高い選択制への保護者の期待と、懸念を示す地域や学校との調整がはかられた見直しと言えます。

 継続するのであれば、義務教育である以上、選択されず適正規模となりえない学校が、その課題を克服できるような支援が必要です。文科省も、浮き彫りになった課題への手厚い支援を行えば、選択制を通じて学校間の格差を埋めることもできる、としています。練馬区や日野市のように、予算措置を講じることも必要では?