見直し相次ぐ「学校選択制」②~23区で見直したのは?

2012年9月17日 22時19分 | カテゴリー: 子ども・教育, 行政評価

都内でいち早く見直したのが江東区。制度導入から6年目の2008年、学校選択制による地域コミュニティーの崩壊を防止する観点から、2009年度より、通学区域への入学を原則に、小学校における選択範囲を「徒歩圏に限る(30分以内)」と変更した。子どもたちと地域との関係性が薄れてきた、との地域住民の声を受けたものだが、保護者の希望にも配慮し、選択制は残した。中学校についてはこれまでどおり自由に選択できる。他に、第一次選択結果公表後、一回に限り希望校の変更を認める、児童生徒数が減る学校の出現に歯止めをかけるため、当初設定した学級数を希望状況により増やさない、学級編成・教員配置・補欠登録者の就学校決定をできるだけ早期に実施する観点から補欠登録期限を10日ほど前倒しにするなど、必要な措置を同時に講じている。選択制導入10年となる今年度、小1と中1の保護者、中1の全生徒及び地域へのアンケートを改めて実施する。 

導入7年目の昨年、選択制検証検討会を持った板橋区は、今年度から小学校に限り、形態を「自由選択制」から「隣接区域選択制」に変更した。2009年度実績で、通学区域及び隣接区域を選んでいた割合は、小97.2%、中96.9%。検討課題とされたのは、通学上の安全確保、地域との関係性の希薄化、適正規模の維持、正確性を欠く情報による選択の4点。結果、仮りに選択制を廃止しても、「指定校変更制度」により、学区域を超えて通学するケースは相当数見込まれ、この場合、選択制導入理由の一つであった「指定校変更」の不平等(先着順による受付等)が再び起きるだろうとの見解のもと、そもそも通学区域を残した上での選択であり、保護者の一定の支持・理解を得ていることから、安全性及び通学距離の観点により、前述の見直しのみにとどめた。東日本大震災を受けて災害時のことも考慮された。なお、選択制存続にあたっては、学校適正規模及び適正配置審議会における検討結果が出た後、具体的な方策が検討されるまで小規模校の統廃合は行わないことも同時に表明されている。 

中学校のみに導入してきた練馬区では、すでに2008年度に練馬区立中学校選択制度検証委員会を立ち上げ、過去3年間の実績や保護者、生徒、教職員へのアンケート結果をもとに改善策をまとめた。制度の目的である「保護者・生徒の意思の尊重」及び「学校の特色・魅力づくり」はおおむね図られているとされ、学校教育への関心の高まりといった成果が見られる一方、学校間の生徒数の差の広がりが課題として指摘された。学校行事等の活気の低下や教職員減少に伴う教科及び部活動指導への影響が明らかになり、また、受け入れ枠を超えた場合でも無抽選で入学を認めてきた運用も問題視されたことを受け、2010年度から受け入れ人数を1校40人を原則に、10人、20人、30人とその規模により4段階の制限を設けた。さらに、その枠を大幅に超えた場合は抽選を行うこととした。また、「特色・魅力づくり」の進んでいない学校については、学校評価の活用、保護者・地域との連携及び通学区域内の小学校との連携を強化することとし、こうした改善計画を立てた学校に対し、教育委員会として財政上の支援を実施、特に小規模校には配慮する、とした。さらに、地域住民や大学生などを部活動の支援者として登録する、また、部活動のみならず大学生を学校活動に活用するための大学との連携、以上3つの具体的支援も打ち出した。遠方からの通学者には防犯ブザーの携帯、複数人下校の指導などを行っている。

都心回帰傾向の影響を受けている新宿区では、特定の地域で子育て世代人口が増加。来年度より、受け入れが限界にある小学校での指定学区域外からの選択を不可とする。本年3月に策定した「基本方針」では、地域とのつながりを重視し、通学区域を原則としながらも、すでに定着した選択制を維持するとし、学校間の児童数の差を緩和する意味からも、通学区域内の児童で3学級となる学校の選択はできないこと、兄弟姉妹が在学する場合の優先抽選も廃止することなどを決めている。5年間の経過措置がある。先の方針において、学校の適正規模を、クラス替えのできる2~3学級と定めたことが前提にあり、同時に35人学級の実現も盛り込んでいる。

廃止を宣言したのが杉並区。小中学校の指定は居住地の通学区域を原則とする、とした。同時に、児童自らの目的意識のもと、指定校以外の学校を志望する場合、その意思を尊重することができるよう、「学校独自の特色ある教育活動や部活動への参加等、その学校を志望する強い動機を理由として、本人自らが申し立て、教育的配慮が必要と認められる場合」を、指定校変更の認定及び承諾事由として新たに設ける。たとえば「スポーツ強豪校に入りたい」などの理由で学区域外の学校を希望する場合、現行では「学校選択制」と「指定校変更制」のどちらかの制度を利用することになるが、今後は「指定校変更制度」で柔軟に対応していく。但し、申し立ては通学区域に隣接する学区域から1校のみ。新たなしくみ導入の理由は、「開かれた学校づくり」という所期の目的は達成され、今後は学校を志望する本人の意思を明確にし、尊重することに重点を置く、とした。現行制度は2014年度(平成26年度)新入学より段階的に受け入れ上限を下げ、2016年度(同28年度)新入学で終了とする。指定校変更制度で新たに加わる「学校の教育活動等に参加を志す場合」の認定及び承諾事由については、2013年度受付、2014年度新入学から実施する。

市部においては、日野市がすでに2010年度より見直し実施。2013年度からは、多摩市町田市立川市が見直す。