土を盛るだけのスーパー堤防は本当に有効か?~その時飛び出した区長の不適切発言

2012年10月23日 00時46分 | カテゴリー: スーパー堤防

 先月23日、タワーホール船堀研修室にて、元東京都土木技術研究所の主任研究員・中山俊雄さんの講演「軟弱地盤はここが心配」をうかがいました。 中山さんは現在、独立行政法人「防災科学技術研究所防災システム研究センター」の客員研究員でもいらしゃいます。

 江戸川区の、特に西半分は都内でも有数の厚い軟弱地盤の上に存在します。軟弱地盤はすきまだらけで、しっかり固まっていない地盤。そのすきまは地下水で満たされており、当然のことながら、地震に弱く、昨年の東日本大震災では、区内の清新町が液状化の被害を受けたことが広く知られています。 

 こうしたまちに暮らす私たちは、もっと足元の事実を知り、今後の防災、減災に役立てていこう、との思いのもと、立ち上がった市民の会「江戸川防災勉強会」が主体となり、この学習会を企画。講師として、東京の地盤調査に長年関わり、東京の軟弱地盤を最も良く知る中山さんをお呼びしたのです。中山さんは、地質学の社会的貢献を旨とする「応用地質研究会」の立ち上げ人であり、中心的な会員。その豊かな知識と経験を社会に還元する活動を続け、前日は、八ツ場ダム問題に取り組む市民に招かれ、高崎市にて「八ツ場ダム予定地の地質と代替地の造成や地滑り対策」について講演されてもいます。当日は私も会の準備などをお手伝いしましたが、清新町をはじめ、区内18の地域から、70名ほどの方々が参加し、熱心な質疑が行われました。 

 清新町の方からは、「同じ場所で再び液状化が起きる可能性はあるか?」との質問が。中山さんは「その可能性はある」とし、「セメント固化や地下水を抜きとる水抜き場所をつくることが有効対策」とアドバイスされました。清新町では、被災後、目視によるチェックで、マンションの抜け上がり箇所への埋め戻しなど、地盤の補修工事を行いましたが、今後も大きな地震予測がなされている中では、やはりさらなる対策が求められます。

  今回の決算特別委員会の土木費審査では、こうしたことを踏まえ、新村さんが「盛り土の危険性を再認識すべき」とし、スーパー堤防事業についても、「その有効性は未知数であり、通常の堤防強化こそ優先すべき」と主張したことに対し、区長から件の不適切発言が飛び出したのでした。 「専門家を信用する。素人の議員は信用しない。新村委員は信用してません!。」議会の権能、そして人格の否定にもつながりかねない、オドロキ、あきれ果てる暴言です。

 では、その信用できない素人である住民の選挙で選ばれている区長の存在とは? 未曾有の原発事故は、その専門家を信じた結果、起きたことを私たちは学習させられたばかりなのでは?

    東日本大震災では、仙台など被災各地で、またお隣りの浦安市や江東区でも土を盛った上にできた住宅などに大きな被害が出ました。さらに、利根川沿川で、スーパー堤防化された津宮や須賀地区などで崩落が起きたことも事実です。住民の生命と財産を守ることを理由に、唯一無二の方策としてその必要性が説かれるスーパー堤防も、ただ土を盛るだけの構造には、危険がひそんでいることを再認識することも必要です。3・11以降、さまざまな分野で、価値観を変えざるを得ない状況が生まれていますが、盛り土によるまちづくりについても再考するインターバルをとってもいいのでは? ましてや、北小岩1丁目東部地区のように、自然堤防の強固な地盤の上にわざわざ盛り土し、あえて危険にさらすようなことは避けるべきではないでしょうか。区内では清新町のみならず、各地でさまざまな被害が報告された中、びくともしなかった当地です。盛り土を伴わない区画整理も検討の余地あり。お伝えしている通り、この「盛り土の危険性」は取消訴訟の争点のひとつにもなっています。

*17日の決算特別委員会総括意見で述べた区長への反論はこちらから。