学童クラブ補食廃止~江戸川区の判断を問う②

 第一回定例会において、先の説明は一転。教育長は一般質問に対し「補食は区として行っているものではない。登録時のしおりにも『補食は自主運営』と書いてある。それを前提に、便宜供与してきた。事業としてやめる、やめないという以前に、便宜供与の部分をやめることであり、保護者の方々に考えていただければいい。今回、事業見直しをかけたのは、補食をとっている子どものうち、所得の低い方に対して助成していた、この部分については特定の方々だけに助成することになっていたので、ここを廃止するということ。補食は自主運営事業であるので、保護者が決めていかれることだと思っている。」と答弁したのです。 

 区議会ではこの直後の、予算特別委員会で全会派から質問が集中。ネット、民主、共産、みんな、一人会派からは、「補食は子どもの生活の一部であり、さまざまな工夫の元、存続すべき」との意見が出される一方、自民・公明は廃止を支持しました。 

 「では、保護者が実施してもいいのか」と問われると、教委は「学童クラブの場所内、時間内は区の管理の部分であり、行えない。」と、事実上保護者にも実施できない旨の再答弁。これに対し、各議員からは「(助成はやめるにしても)実費で行ってはどうか」「事業者に委託しては」「各家庭から持参させては」など、継続を望む声が相次ぎました。 

 「自主運営」については、従来より職員の間では引き継がれてきていたとのことですが、明文化されたのは「すくすくスクール」を全校展開した2005年度から。「すくすくスクール学童クラブ登録のご案内」に「補食は保護者の自主運営および実費負担になります。」と記載されましたが、今年度版からはこれも削除されています。 

 区は同時に、事業見直しに至る理由について、①補食希望者が減っている ②食べる子と食べない子を分け隔てしている状況がある③残さが多い④補食によるカロリー過剰⑤食物アレルギーの児童が増え管理が難しい、なども上げています。 

 区のこうした方向性を知らされた学童保育の現場では、昨年秋、職員有志による「補食に関する検討委員会」が立ち上がり、補食を継続するための検討がなされていたといいます。食材の購入を各校ではなく、まとまったブロック単位で行うことや、補食の量を減らし、月額千円程度にすることなどが提案されたものの、結局取り入れられることはありませんでした。

 区が最大の理由として上げている①に関し、補食希望児童について、過去5年の推移をみると、2008年度54.8%、09年度50.7%、2010年度44.7%、11年度39.3%、12年度34.8%と、この間確かに減少の一途をたどっています。しかしこれは、補食の実施時間が、従来であれば、午後3時から4時前後に提供されるはずが、半数が午後5時、残り半数は午後5時45分以降であり、その後いくらか改善されたものの、現在も全校で午後5時であることに起因すると思われます。実質、6時まで延長している児童のみが対象であり、さらには帰宅直前であることから、希望者減少は当然の結果と言えるでしょう。 

 区は、授業時数が増えたなどを理由に、この時間でないと提供できない、としてきましたが、区から時間を遅くするようにとの指導があった、という現場の声も聞くところです。こうすることで希望者を減らし、やがて廃止していく、という構図をつくりたかったのではないか、とも推察され、合理化による措置に、先の理由を強引に後付けした印象は否めません。他区における同様の事業もいくつか取材しましたが、補食がこれほど遅く提供されているところはありません。 

 そもそも事業見直しにおける補食費助成廃止の議論から、「自主運営」を盾に、補食そのものの廃止を庁内だけで結論づけた、そのすすめ方も大きな問題です。ネットが質問した、「生活の場」「児童福祉増進」の観点への見解については、明確な答弁はありませんでした。

  保護者の方々から区議会に出されている2件の陳情、「すくすくスクール・学童登録児童に対する補食提供の継続を求める陳情」「平成25年度小学校学童クラブ補食廃止撤廃に関する陳情」は、引き続き文教委員会にて審査されることになっています。