学童クラブ補食~児童福祉の観点から「生活の場」をどうとらえるか

2013年4月16日 12時08分 | カテゴリー: 子ども・教育, 行政評価

  各自治体の例規を見れば、いずれの自治体も学童クラブ事業実施の根拠を「児童福祉法」の「放課後児童健全育成事業」に置いています。中には、荒川区のように根拠法が明記されていないところもありますが、保護者に代わって「生活の場を提供する」「生活指導等を行う」ミッションを持つのが「学童クラブ」であることに変わりはありません。

 今回補食を全廃した江戸川区は、「江戸川区学童育成補食費助成要綱」に「学童クラブ事業を利用する生活困難な家庭の児童に対し、学童育成補食費の助成を行うことにより、児童の福祉増進に寄与することを目的とする」と謳い、補食を実施、必要ならば助成も行ってきました。当然この要綱は「学童クラブ条例」、そして「児童福祉法」と連動するものです。

 「児童福祉増進」という観点での、江戸川・生活者ネットワークの予算質問に対し、区は、「法にも条例にも『補食』について謳っていない」と答弁しましたが、一日に三食と、おやつを摂ることは、子どもの「生活」を維持する上で当たり前のことであり、子どもの健康維持、発達促進など、児童福祉の観点においては、時代に左右されない、普遍的なことと考えられるのではないでしょうか。特に、助成を受ける家庭は、生活困難や養育困難という家庭環境にあることが窺え、その必要性は意識されるべきポイントです。食べる子と食べない子を分け隔てしているとの見方については、保育に欠ける「学童登録」児童と、そうではない「一般登録」児童を並列に置くこと自体問題ではないでしょうか。児童が友達と一緒におやつを摂ることは、おなかだけでなく、心を満たすことにもつながります。江戸川区では、2010年1月に児童虐待死が起き、昨年は一家心中事件で児童2人が犠牲になりました。子どもの人権、その生活を守れなかった江戸川区は、どこよりも「児童福祉」の視点を大切にすべきです。

 区では、正規職員退職不補充の方針のもと、「すくすくスクール」で働く職員の非常勤化も進んでおり、現在、常勤98名、非常勤167名となっています。圧倒的多数の非常勤職員の間からは、補食は廃止してもいい、との意見が区に出されていたとも聞きます。非常勤の働き方が増加する一方で、離職に伴う随時募集もなされ、週30時間の勤務体制で日々の仕事に追われる中では、児童福祉法の基本理念が現場で十分共有されていたのか、区の指導を問いたいところです。

  厚生労働省雇用均等・児童家庭局が出している「放課後児童クラブガイドライン」には、特に補食についての規定はありませんが、担当の育成環境課健全育成係にお聞きしたところ、「現状、おやつ代を徴収して補食を実施するところが多い。江戸川区は合理化の一環で廃止するようだが、長い時間子どもを預かる場合は、補食についても運営上の工夫ができるのではないか」と話しています。

 なお、「東京都放課後子どもプラン実施要綱」には、「7.区市町村における放課後対策事業の実施」における「(4)学童クラブの対象児童に対する配慮」の中で、「学童クラブ事業(放課後児童健全育成事業)実施要綱」に基づき、「現行水準と同様のサービス」を提供すること、とされています。現行水準で言えば、補食は維持されるべきものと考えられますが、その列記項目の中に『補食』は入っていません。一方で、東京都福祉保健局の「放課後子ども教室」と「学童クラブ」を比較した表には、学童クラブの利用料金について「育成料とおやつ代」と表記されています。

 都が公表している市区町村学童クラブ実施状況はこちら

  そもそも、補食廃止は区が事業見直しの視点とした、①23区の中で突出した事業②今の時代にそぐわない事業、いずれにも該当しません。これは担当の教育推進課にも確認済み。

 保育に欠ける児童にとっての「生活の場」を、児童福祉の観点からどうとらえるのか。江戸川区はその基本に立ち返り、再考が必要です。