サーマルリサイクルがもたらしたもの

平成21年度決算特別委員会報告⑥

東京23区清掃一部事務組合関連では、飛灰(通常の焼却灰ではなく、最終段階で集塵装置で捕集されるもの)の処理とサーマルリサイクルの検証結果について質問しました。

飛灰には多くの重金属が含まれ、人の健康や生活環境に被害を及ぼすことから、法律で特別管理一般廃棄物とされています。
本来ならば、主灰(焼却灰)も飛灰もすべて灰溶融施設で処理されるはずが、事故や故障を繰り返し、結局技術的に無理だと判断されて、今年から灰溶融施設での処理は主灰のみと、大きな方針転換がなされました。これに伴い、江戸川清掃工場では、飛灰は重金属固定剤で固めた(混練り)上で、中央防波堤に運び、埋め立て処理することに。江戸川工場における21年度の重金属固定剤の量は164071kgと、20年度80540kgの2倍、19年度19228kgとの比較では何と10倍。これは混練りの量が年々増えているためです。
すでにお伝えしたとおり、灰溶融施設については、平成8年に厚生省の廃棄物処理施設整備国庫補助金取扱要項に灰溶融・固化設備付属が補助要件となったことで、次々と建設されてきた経緯があります。主灰と飛灰を同時に溶融できる”夢の施設”と言われてきましたが、まさに夢に終わってしまった?

また、先月末に公表された「サーマルリサイクルの効果と影響」によると、プラスチック焼却による温室効果ガスの増加について、16万6千トンとの予測はやはり過小予測であり、結果は36万7千トンという大幅な増加となりました。焼却するプラスチックは可燃ごみの10%と見込んでいたものの、実績は13%。この混入率10%については、名古屋や横浜といった、資源化に徹底して取り組んだ政令市のデータを参考に立てたもの。資源化に取り組む江戸川区は9.2%と、その成果が出ていますが、資源化していない世田谷は17.4%で、23区平均になると13%に。各区の足並みがそろえば決して難しい目標ではありません。引き続き、23区総体としての取り組みをすすめ、環境負荷を低減していく必要があります。

一方で、不燃ごみは8割以上削減され、最終処分場の延命化は果たされましたが、今度は埋め立て量が減ったために、東京都に支払う最終処分委託料が3倍程度増えることにもなっており、江戸川区の分担金は6000万円ほど増加する見込み。すでに中央防波堤に埋まっている不燃ごみの排水処理には一定の費用が発生するためとのこと。ごみが減ったのに支出が増える状況を生んでいることは、市民にはわかりにくいものです。