前日の午後8時頃から「食事をするのが遅い」などを理由に、両親が約1時間にわたり暴行を加え、翌朝、搬送先の病院で死亡するという痛ましい結果を招いたものです。
① 9/14 児童を治療していた歯科医が左ほほ及び両ももにあざを発見、区の子ども家庭支援センターに通報
② 同日、センターから学校に連絡
③ 9/16 家庭から、けがで休むとの連絡があり、同日担任が家庭訪問。顔がはれているなどの報告を受けた学校長が副校長・担任と同日再度訪問。父親が暴力を認め、二度と殴らないと約束
④ 同日、学校からセンターに状況報告
⑤ 9/17 センターが墨田児童相談所に郵送で情報提供
この初動の中でまず悔やまれるのが、家庭訪問時に父親の言葉を安易に信じたところです。暴力をふるうことはもはや性格。指摘されたからといって簡単に改まるものではありません。さらにその際、医療機関受診をすすめているものの、その報告についての詰めはなかったようです。虐待の事実が認められた以上、すでに学校の生活指導の領域を超えたケースであり、親子分離も視野に入れ、児童相談所との連携を速やかに図るべきではなかったでしょうか。センターから児童相談所への連絡が郵送でなされていることからも、現場の緊張感のなさが見て取れます。教職員やセンターの職員は児童救済の学習を積んだ専門家というわけではなく、専門家不在のまま対処していたこと、地元の民生児童委員にも児童の状況が報告されていなかったことなどは大きな問題です。
また、ほほやももなどのあざについては、歯科医の通報を待つまでもなく、日常接している学校側で気付くことができたのでないか。欠席が8月は4日、9月は6日、10月は11日、12月は6日、1月は8日。学校での対応を決めたなら、養護教諭との連携も密にし、心身の変化にもっと慎重に対応できたのではなかったか。
次世代育成支援行動計画の柱に掲げた「子どもの虐待防止対策の充実」。関係機関の役割、連携が機能不全であったことを猛省し、体制を立て直していかなければなりません。
児童は母親が中学3年生のときに生まれており、ことは覚悟のない妊娠・出産から始まった悲劇とも考えられます。学校での性教育の充実も含め、教職員の研修や、スクールソーシャルワーカーの活用など、検討すべき課題は山積です。