これがスーパー堤防?!~柴又公園地区スーパー堤防見学会
「スーパー堤防問題を考える会」では、5月29日(日)、「柴又公園地区スーパー堤防見学会」を実施しました。
午前10時、柴又駅には20名が集合。江戸川区や葛飾区民の他、杉並区、品川区、横浜市、市川市などからも参加がありました。
案内人は地質研究者で「スーパー堤防問題を考える会」幹事の渡邉拓美さん。
古地図を手に路地裏や線路沿い、帝釈天参道を歩き、柴又の地形から「川とともに暮らす人の知恵」について説明を受けました。
江戸川はかつて大きく蛇行しており、河川敷や自然堤防は畑に、その背後にできる後背湿地は田んぼに利用されていました。自然堤防とは、川からあふれ出た水に含まれた土砂が、川岸に堆積してできた微高地です。堤防に穴を開け、川から取水するために水路が発達。やがて宅地化が進み、水はけのいい自然堤防は居住地や道路など生活圏の基盤となっていきました。帝釈天参道もしかりです。まちを歩くと水路が埋められたり排水のための暗渠となっていることがよくわかります。わずかな距離にマンホールの蓋がいくつもあったのが印象的でした。
線路脇にもマンホール。それを見ながら歩いていると、ちょうど京成電車が通過。みんなで電車に手を振ると、運転手さんが警笛で応えてくれました。なんて粋なはからい。
そして最後は「柴又公園地区スーパー堤防」。
公園整備と高規格堤防整備を一体的に行うことにより、公園と水辺との連続性を図り、水と緑の豊かな憩いの場を実現した、というのが国の説明。
しかし実態は、その連続性とやらのために「スーパー堤防」の盛り土内を都道が通り、本来、まち側に向けて、堤防高の30倍の幅でなだらかに下る盛り土を行うはずが、まち側にある「寅さん記念館」は、堤防高よりさらに上に上がったところに建っています。しかも、そこからまち側に向かう「スーパー堤防」の傾斜の終点は、なだらかでもなんでもない絶壁。
「壊れない」堤防にするために、高規格な幅をもたせて頑丈にするはずが、堤防内には車道の他、コーヒーショップまであり、盛り土の空洞化もいいところ。
外水氾濫を持ち出すまでもなく、昨今頻発化・激甚化する内水氾濫が起きれば、都道を通したボックスカルバートの起点と終点から水が入り込み、通行できなくなることが懸念されます。「治水」はいったいどこへやら・・・。
こちらは「粋が川へ陥る」、でしょうか?