千葉を襲った2つの水害に学ぶ~「市民ネットワーク千葉県」学習会
10月12日(月)、「市民ネットワーク千葉県」が実施したオンライン学習会「千葉を襲った2度の水害~爪あとから何を学ぶか」に参加しました。
8月と9月、相次いで大水害に見舞われた千葉県。これまで見たことのないようなニュースの映像を目の当たりにし、ここまでの水害が起きたことに絶句した方も多いのではないでしょうか。しかし、この現実を私たちは直視し、これまでの治水対策では市民生活を守ることができない現実を受け止め、どうしたら被害をなくせるか、あるいは最小化できるかを考え、その方策を着実に実行していかなければなりません。
講師は愛国学園大学教授・梶原健嗣さん。長らく水問題に取り組む梶原さんは「近現代日本の河川行政」(法律文化社)、「都市化と水害の戦後史」(成文堂)、「大水害時代の防災」(岩波ブックレット1116)などのご著書でも日本の治水行政の課題を発信されてきています。
このたびの千葉での2つの水害は、同じ水害ではあってもその内実は異なります。
8月の千葉豪雨は新たな「都市型内水氾濫」であり、車の被害も特徴的でした。9月の台風25号による被害は従来型の「河川氾濫」による「土砂崩れ」が大多数を占めました。
今月4日、「市民ネットワーク千葉県」のみなさんや嘉田由紀子参議院議員らと現場を歩き、昨今の気象状況、そして水害の現実をおさらいしたうえで、これから考えるべきことをわかりやすく展開されました。その一部を私のメモからご紹介します。
指摘その1:
9月には印旛沼が決壊した。堤防の強さは、高さ・幅・材質・基礎地盤による。河川管理施設等構造令によれば、幅は3m~7mと定められているが、湖沼は3m以上とあるのみ(21条)で、3mで決壊した。当地は縄文時代には海だったところで基礎地盤はいいとは言えず、沼の大きさからしても築堤の条件を見直す必要があるのではないか。
指摘その2:
8月、線状降水帯がもたらした豪雨により、千葉県は「『都市型水害に強い千葉県づくり』に向けたビジョン」を早急にまとめた。方針には「『避難する・させる』から『危険空間に入らない・入らせない』」ことも盛り込まれた。しかし、被害が公表・報道されたのは水害発生からほぼ1日経ってから。これではビジョンがなし崩しになってしまうのではないか。
指摘その3:
国交省関東地方整備局の「千葉県内におけるアンダーパス部等の道路冠水注意箇所マップ」には95ヶ所が示されている。県では、この5年間で2か所、自動通行止となるエア遮断機を設置しているが、いずれも傾斜度が低く、見通しのいい場所であり、設置箇所の再検討が必要ではないか。また、この豪雨による自動車被害について、通行中の被害は1200台だが、駐車場に停めてあった車などを含めると車被災数は1万台を超える。この事実から、決して「アンダーパス」問題に矮小化してはならない。
これまでの治水行政は、大雨が降るとどれだけの規模の洪水になるかを想定、基本高水流量を設定し、いかに河道に封じ込めるか、を考えてきたものでした。そこには被害を起こした原因は考慮されていません。
しかし「治水・防災には、危機管理的発想が重要である」と梶原さんは説きます。「最も避けるべき事態は何か」「それはどうして起こるのか」。「被害をベースに逆算で考えていくことが重要」であり、「従来の演繹的思考から帰納的思考への転換をすべき」だと。
最後には「印旛沼決壊はパイピングが原因か? 今の状況を改善するにはどうしたらいいか」といった質問から、「浸透を失った社会で、雨をどう貯めるか、どう流すか」「浸透が王道」「有機土木が必要か」など、参加者との議論がなされました。
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