しかしフタを開けてみると、改正のポイントは昨年夏の中間まとめからすっかり後退し、産業界の圧力に屈する形で「拡大生産者責任(EPR)」は棚上げに。事業者の自主取り組みに任せる、と大きくトーンダウンしてしまいました。しかもその事業者の対象は、容器の利用事業者(たとえば飲料メーカー)のみに限定され、容器製造事業者は含まれていないのです。さらに審議会での意見具申の際には明記されていた3Rの一番目である「発生抑制(リデュース)」が法案では「排出抑制」にすり替わり、二番目に大事な「再使用(リユース)」にいたっては、すっかり抜け落ちてしまいました。
このことについての質問に対して、環境省のリサイクル推進室長のお答えは「『排出抑制』の中に『発生抑制』と『再使用』が含まれるというのが法の概念。あえてここで分ける必要はない。」というもの。「『発生抑制』はメーカー責任、『排出抑制』は消費者責任というのが市民の共通認識。『排出抑制』では何も変わらず、だからこそ今『発生抑制』に変えるべき」と異口同音の抗議が噴出。「なぜこだわるのか。法律とはそういうもの。私は法律をつくるプロだ。」との発言にいたっては、霞ヶ関サイドと市民の意識の差をまざまざと見せ付けられる格好となりました。
プロなら素人にわかりやすい条文をつくるべき!一体、誰に向けての法律なの?!
アメリカ産の牛肉輸入にしても、再開して1ヶ月足らずでまたもや中止となっている状態が続き、「電気用品安全法」も4月の施行直前に、市民側の意見を受け入れ、方針転換を余儀なくされたことはご存じのとおりです。
市民が当たり前に感じることと違う視点で政府の判断が行なわれている事実に対しては、これからもみんなでしっかりチェックし、大きな声を上げていきましょう。
(写真は、昨年訪れた山口市のエコステーション。空き缶やペットボトルを投入するとゲームが始まり、当たると割引券などラッキーチケットが出てくるという、商店街の取り組み)