第四期の「介護保険事業計画及び熟年しあわせ計画案」に示された5つの基本的な方向性は、住み慣れた地域で暮らし続けるためにどれも大変重要なものですが、その中の「地域で支える包括的なケア体制の充実」という点についてまず質問しました。
2006年の法改正のキーワードは「介護予防」と「地域ケア」であり、これを担う中核機関として「地域包括支援センター」が置かれています。「地域包括支援センター」の機能としては①総合相談・支援②介護予防マネジメント③包括的継続的マネジメントという3つですが、介護予防マネジメントに時間と人手がさかれ、いまだトータルな支援が実現されていない状況にあります。厚労省は高齢者人口6000人に1か所の設置を理想としていますが、区においては特養と医師会合わせて13にとどまっており、今回の計画においても新設とブランチの増設が示されました。そこで、新設を考えたとき、区内に9か所ある介護老人保健施設をその候補としてとらえていってはどうか、と提案しました。
熟年者をトータルに、まさに包括的にケアする体制はこれからますます重要になります。2000万円に満たない程度の委託料で専門家を最低3人は雇い、業務に忙殺される現状を見聞きすると、事業者にとっては厳しい状況にあることも確かですが、超高齢社会がすすむ中、高齢者を対象として事業展開をしていく法人にとっては、地域の介護情報や高齢者の実態を知る立場になるという点においては、法人側にも大きなメリットにもなるはずです。
「地域包括支援センター」は地域福祉の拠点であることから、国としては自治体直営のセンターを構想していましたが、指定事業である指定介護予防事業所の関係や24時間対応などの課題から、在宅介護支援センターを発展させて委託を選択した自治体が多く、江戸川区もこの形をとりました。私たちネットは、06年から3年間にわたり「地域包括支援センター」への調査を継続して行なってきましたが、現場の抱える課題はこの3年間変わることはなく、トータルな事業の遂行はほど遠い現状です。そこで、介護保険の保険者であり、地域福祉の責任者である区が直営のセンターを持つことも検討すべきとの要望もしました。