説明がつかない北小岩での事業化

改めて、今年最後の緊急区議会報告

→「規模も強度も第一級」と、当時の建設省からも地学の専門家からも折り紙つきの北小岩の堤防。この地に立った「公共事業チェック議員の会」の国会議員らも納得。

スーパー堤防事業は、人口と資産の集中する首都圏と大阪圏を、想定を上回る大洪水から守るために考案された特別な治水事業です。

当初、江戸川区は、スーパー堤防を江戸川区に建設する理由を、都心を守るため、と説明していました。これがそのうち、江戸川や荒川沿川の住民を守るため、となり、次に、67万区民を守るため、と変わり、今では、零メートル地帯の江戸川区には、避難をするための高台が必要、と説明するに至っています。

スーパー堤防は、ごく一部ずつしかつくれない大規模事業だからこそ、実施するときは、治水上の必要性や緊急度をよく調べた上で場所の選定が行われなければならなかったはずです。しかし、先行した平井も含め、それが行われていないことは明らかです。区が来年にも事業化したい北小岩を例に取りましょう。

みなさんは、区が作成した「洪水ハザードマップ」をご覧になったことがあるでしょうか。これによると、小岩は区内で最も地盤の高いところで、最も水害をうけにくい地域として示されています。

さらに、区が平成11年に策定した「街づくり基本プラン」は、区内を6つのブロックに分け、それぞれに現状と課題、将来像が示されています。このうち4つの地区では、スーパー堤防事業が何らかの形で明記されていますが、小岩地区は、本事業が明記されていない地区のひとつです。都市計画法に基づく区の上位計画との整合性に問題があります。

写真の通り、現在の堤防も過去2度の大規模改修が行われた結果、当時の建設省は、関東大震災級の地震にも耐えうると説明。河川敷の広さも200mに及び、まち側の法面もなだらかな傾斜であるなど、規模も強度も第一級のものです。それなのに、なぜ、北小岩なのか。

先日、国に出された事業促進の要望書には「すでに5年以上にわたり対話が行われてきた地区」とされていますが、未だ十分な住民合意がなされていないのが実情です。区は、この期に及んでも「水害に強い安心・安全のまちづくり」という一般論を繰り返すばかりで、個別の地域での必要性については、区画整理面での主張はしても、それがスーパー堤防事業と一体となる必然性については、合理的な説明はできていません。5会派合同の区議会緊急報告で詳細をお伝えしているとおりです。

以前も今も変わらない唯一の真実は、スーパー堤防事業に乗っかれば、区の事業である区画整理もほとんど国のお金でできてしまうこと。区はこれまで、このことを、議会で何度も説明してきましたが、国の財政がひっ迫している中で仕分けされた本事業について、さすがにここに触れることは封印せざるをえない?