一昨年から、「市民がつくる政策調査会」による「行政評価プロジェクト」に関わってきました。行政評価はいかにあるべきか? 早稲田大学社会科学学術院・坪郷實教授、神戸学院大学法学部・南島和久准教授、国会議員政策秘書の方々などと一緒に東京・生活者ネットワークから、私を含む3名が地方議員の立場で参加してきました。実際の評価事業として、いわゆる補助金行政に切り込む目的があり、それぞれの自治体の実態をレポートする役割があったからです。私は「スーパー堤防事業」についてレポートしました。
江戸川区は平成17年度から「行政評価」を実施。「事業の目標値を示すことにより、その成果を確認し、区政改革を推進する一手法」だとしています。成果の確認作業においては、当然、そこから改善点を見出す、そして、拡大するか、縮小するか、あるいは、廃止するか、といった指標にもし、施策展開のよりどころとなるもの。しかし、区の制度はまだまだ未成熟。区民生活に大きく影響する250事業を対象とし、これまでに147事業が終了しましたが、廃止や縮小に至ったケースはひとつもありません。そこまでを判断する制度になりえていないのです。
新宿区では「新しい計画評価の文化の共有と定着」を目指して、「行政評価制度」が進んでおり、評価結果がきちんと予算編成に反映されるなど、そのしくみが整っています。江戸川区では、年間2回の開催ですが、新宿では年間12回実施されており、分野別の3つの作業部会も11回から14回開かれるなど、評価委員の仕事は、1年を通してなされています。委員数も江戸川6人に対し、新宿15人。新宿では、計画事業と補助事業では評価の仕方も変え、評価理由も明確に表現。その結果、内部評価に対する外部評価として「抜本的な見直し、検証をすべき」「廃止の方向で検討すべき」といったものの少なからず見受けられます。行政は、事業はすべて必要だから行っている、と説明しますが、客観的にきちんと評価した場合、そうでないものも出てくるということ。
今回の具体の提案としては、6人の外部評価委員が、区政万般を評価するのは極めて困難であろうことから、福祉やまちづくりといった分野別に委員を選任する、あるいは作業部会を設けること、事務事業分析シートには、コストの経年変化も含め、もっと評価するに足る情報を盛り込むこと、評価項目の表現を、評価しやすい具体的なものに変える、評価の公表にあたり、事業名を検索しやすくすること、などを指摘しました。
補助事業の評価には、実施要綱なども点検する必要があります。事業展開されている現場を委員が視察することも重要。現場に行けば、サービスの担い手や関係者から生の声を聞き、所管課の説明だけを聞くより、より実態把握ができます。そのためには、評価日数を増やすことは必至。また、「ニーズに応じたサービスの提供が行われているか」と問われても、評価委員が必ずしもニーズを把握しているわけではなく、その指標がよくわからない中で、評価をすることになれば、その評価は信頼性に欠けてしまいます。評価委員に十分な情報提供がなされること、これが行政評価の大前提です。
今議会では、区立幼稚園の廃園をめぐる議論がなされていますが、存続か廃園かについても、市民参加による行政評価を経た上で、その評価を公表し、さらに区民の意見も求めた上で決めていくというプロセスを踏むべきです。保育園民営化もしかり。区だけで検討し、区だけで決めた結果だけを知らせている、ということが結果的に事態を混乱させてしまっています。こういう判断こそ、行政評価によってその方向性を示せるといいのでは?