事実経緯の整理から導き出されるものは?~江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟第7回口頭弁論

 この行政訴訟は、江戸川区が土地区画整理事業の事業計画変更を行わないままに行った仮換地指定処分は違法、として提訴したものですが、現在は、「国がスーパー堤防を行う法的権原はどこにあるか?」ということが大きな争点となっています。

 これに対し、江戸川区は、前言を翻し、「国のスーパー堤防事業は、土地区画整理法100条の2に基づく」と主張。

 8月26日の第7回口頭弁論で、原告弁護団の福田健治弁護士は、まず 「国のスーパー堤防工事は、法的権原がなく、違法。このような工事のために行われた仮換地指定だ」と前置きし、区の主張に次のように反論しました。

 土地区画整理法100条の2は、「管理」権限を定めたものであり、5m以上の大規模な盛り土をする工事は、「管理」では不可能である。土地区画整理法の構造上、「工事」の権限を定めているのは80条であり、本来80条によって規律されるべき。

 しかし、その80条も、これまでお伝えしてきている通り、現状に合致するものではありません。

  江戸川区の区画整理と一体のスーパー堤防事業に関し、第一の裁判となった「土地区画整理事業計画取消訴訟」(最高裁係属)の裁判長でもあった谷口豊裁判長は、「個人的には理解しているが、事実関係はもちろん、基礎となっていることを整理したい」として、原告に対し、被告が示している事実経緯についての認否を求め、被告に対しては、別訴(差止訴訟)の準備書面に書いている経緯がまとめられている本件書面について対応表をつくり、(別訴のほうにあって)本件にない場合は追加するようにと、書証の整理を求めました。

 次回は、別訴期日の1週間後、11月11日(水)11時、803号法廷にて

  スーパー堤防事業がなければ、この区画整理はありえず、当然仮換地指定処分もなかった―。しかも、そのスーパー堤防事業は、法の根拠もないままになされている―。本来、工事ができない国に盛り土させるために、区画整理の仮換地処分をしている―。

 これまでの事実経緯をたどれば、このことが導き出されるのでは・・。