堤防強化の優先順位・工法は適切か? ~ スーパー堤防よりも通常堤防の強化を

 台風18号は鬼怒川を決壊させ、甚大な被害をもたらしました。(国交省関東地方整備局の対応はこちらから)

 11日付け朝日新聞は、国交省の話を次のように伝えています。 

「(決壊した鬼怒川の)堤防は高さ3~4m、底辺の幅約30mで、建設時期は不明」

「現場付近の鬼怒川は河川法に基づく計画で、『10年に1度の大雨に耐えるよう』、堤防のかさ上げや拡幅工事をする予定だった。だが、工事は20km下流の利根川との合流地点から上流に向かって順番に進めているため、現場付近では昨年度から用地買収を始めたばかりだった。改修が必要な堤防のうち整備が終わったのは44%にとどまっている」。 

 国直轄の一級河川において、10年に1度の大雨への対応も十分でなかった一方で、200年に1度という、計画を上回る超過洪水に対応するとして、同じ一級河川の江戸川・荒川・多摩川、淀川・大和川の5河川では「スーパー堤防事業」がすすめられ、今後もすすめるとされています。 後者は、首都圏・大阪圏を守る、という特別なミッションを持ち、他の堤防強化と目的が違うという向きがあるかもしれません。しかし、治水事業としての事実を知れば、問題があることは明らかです。

 堤防決壊による大きな被害が報道されると、「スーパー堤防はやっぱり必要ではないか」と思う方もいるでしょうが、私はそうではないと思います。 

 集中豪雨への備えは今や喫緊の課題です。ということは、いかに短期間に、有効な方法によって、今ある堤防の強化を行うか、このことこそが重要ではないでしょうか? 

 スーパー堤防は、制度創設から四半世紀での進捗率が1.1%。このままでは、気の遠くなるような年月を要します。しかも、区画整理や再開発などの計画がある自治体が、一緒にやりたい、と手を上げたところからなされるもので、「地域のまちづくりありき」であり、本当に治水対策を強化すべき脆弱な箇所で整備されるものではありません。つまり、治水事業として創設されながら、治水は二の次というのが実態です。さらには堤防高は従前と変わらず、まち側に土を盛るだけの構造。激しい雨や揺れに対して、すでに崩落の事実があり、その安全性への疑問はぬぐえません。一度にわずかしか整備できないこの事業では、整備されていない両サイドの地区へと水が流れることから、逆に危険を高め、今回と同じような事態を起こすことが懸念されます。 

 かつてない豪雨の前に、「国民の生命と財産を守る」ことができていない以上、これまでの考えを改めるべきは改め、より効果的な方策を検討する必要があるのではないでしょうか。小規模河川の支流、宮城県の渋井川も決壊し、人々の生活が相次いで川に呑み込まれる状況に、決壊に至る時間を引き延ばすことを第一に、堤防強化の優先順位、堤防強化工法を見直すべきとの思いを強くするばかりです。

 まずは、全国にまだたくさん残された脆弱な通常堤防の強化を計画どおりにすすめることを最優先に、スーパー堤防予定地においても、進歩を遂げる他の堤防強化技術の導入をすすめていくべきと考えます。