公式サイトから削除された「八ツ場ダム治水効果想定」

   私たち生活者ネットワークのメンバーを含む一都五県の住民が、群馬県長野原町に計画された八ツ場ダム建設の中止を求め、当該知事を相手取り、各地裁に住民訴訟を提起したのは2004年秋のこと。2年前の3月には、東京高裁の控訴審判決を不服とし、最高裁判所に上告していましたが、今月10日、最高裁は上告棄却の決定をしました。 

 市民が研究者らと連携し、事実に基づく緻密なデータを駆使して、いかに真実を整然と述べようとも、司法はそれを受け入れず、被告の、事実や現状とかけ離れた主張を追認しました。 

 実は先ごろ、八ツ場ダム推進論者が好んで使用していたデータをホームページに掲載していた群馬県が、そのデータを削除しました。掲載されていた内容は、「八ッ場ダムの治水効果を河川改修で対応する場合の想定」という章の中の説明文と図。これを削除した理由は、なんと、この説明文と図には根拠がないことが明らかになったため。 

 これを、たびたび公式の場で使っていたのが、今回の堤防決壊による水害でも「専門家」としてメディアに登場されていた元江戸川区土木部長、現公益財団法人えどがわ環境財団理事長・土屋信行さん。「八ツ場あしたの会」がくわしく伝えています。こちら から。 

 ところで、国交省は、今月2日、八ツ場ダム本体建設工事を間近に見ることのできる展望台を川原畑地区に開設しました。名称は「やんば見放台(みはなしだい?)」。「世紀の大事業をみなさんに見てもらいたい」とのことですが、八ツ場ダムが見放したものの大きさ、塗炭の苦しみを背負わされた人々に思いを馳せるとき、この名称を付けた無神経さに呆れかえります。

  なお、このたびの鬼怒川決壊では、上流の4つのダムが機能しなかった、と日本経済新聞が報道しています。こちら から。