スーパー堤防まちづくり「区費ゼロ」の功罪

使用収益が開始された9月29日、北小岩1丁目東部地区高規格堤防特別区域に指定されました。と同時に、同地内で河川に隣接する一定区域が指定されていた河川保全区域は廃止されました。

現在、約80区画のうち、20区画ほどで住宅の建築が始まり、他にも駐車場や売地、また地鎮祭が終わっているなど、3割ほどの区画で再建に向け何らかの動きがあります。

さて、当地の土地区画整理事業費は現在51億円。資金計画では、区単独費が24億円余りになっていることは以前お伝えしました。このうち、半分の12億円が国庫負担、残り12億円が区費で、事業費の24%を区費が占めています。こちらもどうぞ。

平井7丁目のスーパー堤防と一体の区画整理事業は、今回の北小岩とほぼ同規模でしたが、区画整理費は35億600万円。うち、31億2千万円が国庫負担。区費は3億8千万円で3%に過ぎませんでした。北小岩はその8倍で、区費は事業費の1/4にもなっています。区費の中には、都から各区に再分配される財政調整交付金や都の都市計画交付金が含まれますが、これは両地区とも同じです。

区は、北小岩での事業化に際し、平井の事例をもとに「スーパー堤防と一緒にやれば区費ゼロでまちづくりができる」と再三説明してきましたが、そういう状況にない、というのが現実です。

そもそも、区費ゼロならいいのか。区費ゼロということは、国のスーパー堤防事業のみならず、江戸川区のまちづくり事業にも、国や都の税金をふんだんに使うことに他なりません。

河川整備計画に「計画的に」明記されないスーパー堤防事業が、莫大な費用を投じて極めて部分的に事業化されることで、本来なすべき「計画的な」堤防強化事業が置き去りにされてしまいます。このことが各地での水災害の頻発につながっていないでしょうか。国民、都民もスーパー堤防事業の妥当性について改めて考えるときです。

利根川・江戸川有識者会議の委員も務められた拓殖大学准教授・関良基さんが、「週刊エコノミスト」(10/31号)の「エコノミストリポート」に寄稿されました。同会議では先輩学者が居並ぶ中、唯一、スーパー堤防事業に切り込まれた有識者です。こちらから。
「スーパー堤防は災害リスク高める 100メートル40億円、完成に400年の事業 非合理的な『ダムありき』の河川行政」。どうぞお読みください。

再建がすすむ北小岩1丁目東部地区内。10/28、牧野研二区議撮影。