スーパー堤防、地耐力不足の原因未だ示せず~国交省レクチャーから②

④江戸川沿川の江戸川区篠崎地区ではスーパー堤防の対象地域でありながら、寺院は移転を求められる一方、近接する神社は残されることになった。また、荒川沿川の平井4丁目では、更地であったにも関わらず、スーパー堤防の盛り土が行われることなく大規模マンションが建設された。国交省はどのような調整を行っているのか。

回答は、「神社については平成28年、江戸川区からはずすように言われた」「平井については、民間事業者と協議したが調整がつかなかった」

大都市を壊滅的被害から守るために必要な治水事業と言いながら、事実はこのとおり。しかも「うちははずしてくれ」ということがまかり通る場合と、通らない場合がある。何とも不公平で不公正。ここにも、忖度、でしょうか。

⑤北小岩1丁目東部地区で、地耐力不足が生じたことについて、未だ原因の説明が行われていないとの指摘に対し、説明した、というのであれば、いつ、どのような方法で行ったのか。原因はどのようなものであったのか。

回答は、これまでの説明を繰り返しただけで、添付された資料も平成29年5月11日実施の「第31回まちづくり懇談会資料」の抜粋のみ。地盤強度の調査方法についての認識不足との域を越えず、直接の原因の説明はありませんでした。

確保すべき地耐力が30kN/㎡との認識はあり、「プレロード(あらかじめ盛り土による荷重をかけ沈下促進させる)→沈下観測→沈下収束確認」したが、その確認は「30kN/㎡あるだろう」という予測に基づく判断だったということ。

②の回答もしかり。スーパー堤防の安全性というのは「安全だと考えられている」「安全基準に達しただろう」という、極めてあいまいで、非科学的判断であることが改めてわかりました。

山添議員は、5つの質問について、約束どおり、国交省として文書で回答することを求め、了承されました。

さて、新年明けてすぐ、「江戸川区スーパー堤防差止訴訟」控訴審の第4回口頭弁論期日が持たれます。1月11日午前11時、東京高裁101号大法廷にて。
法廷の場でも、地耐力不足の原因を分析・検討した文書の提出とともに、その明快な原因説明が求められています。「安全」だと言われ続けてきた本事業の根幹に関わる重大な局面。いったいどのような陳述がなされるのか。私人の土地に国が盛り土できる法的権限は?
どうぞ傍聴にお出かけください。