江戸川区の「事業見直し」は適切になされているか?

2013年1月1日 23時59分 | カテゴリー: 行政評価, 財政

 江戸川区は、民間活力の導入や組織のスリム化、職員削減、受益者負担の適正化、区長給料減額や議員の定数削減など行財政改革をすすめてきました。たとえば、学童クラブ育成料は1999年度に新設されたもの(ちなみに世田谷区は今も無料)。また、区民施設駐車場有料化は2005年度からです。

  しかし、23区と東京都で分け合う特別区交付金(原資は固定資産税、法人住民税。2012年度予算2189億円のうち775億円を占める)や、区に直接入る特別区税(同461億円)といった二大歳入(収入)源が激減。07年度に比べてそれぞれ161億円、45億円も減少。

   一方で、子育てや福祉施策、生活保護や介護保険にかかる福祉費は歳出(支出)全体の約5割を占めるまでに増加し、特に生活保護費は07年度比162億円の増大。介護給付費は同100億円、障害者自立支援給付費は同54億円の増加です。このため、基金(貯金)の大幅な取り崩しも続いており、特にこの3年間で400億円もをその補てんに使っている状況です。そこで、全ての事業を対象とした大規模な見直しに取り組むというもの。

  見直しの視点は次の3つ。①23区の中で突出した事業②今の時代にそぐわない事業③行政内部経費10%削減。

  昨年12月20日発行「広報えどがわ」に3ページに亘って大きく掲載された、この「財政危機と施策の見直し」について、区議会に報告があったのは、この3ヶ月前の9月のことでした。

   財政危機にある以上、この姿勢は当然のことですが、区が今回示した216事業、約32億円の見直しについてまず感じたのは、福祉・教育といった子どもに関わる重要事業が複数対象となっていること。その一方で公共事業の見直しはほとんどなし。都市計画道路整備の仮舗装構造を薄くすることで年間約200万円の削減が見込まれている程度ですが、わずか1.2haの北小岩1丁目東部で実施予定のスーパー堤防事業と一体の区画整理事業は43億円の事業。この工法を見直す姿勢がほしいもの。点に過ぎない部分的な盛土は、当該地はもちろん、周辺地にもリスクを増幅させます。区が強調する、災害時の高台の避難所にもなりえないことはすでにお伝えしてきているとおりです。

  さて、子どもに関わる見直しの一丁目一番地は「学校給食費保護者負担軽減の廃止」。年間約5億2400万円の削減となり、廃止45事業の中で最大の効果額が見込まれています。廃止理由は前述の①に該当。しかし、これまで区は本事業を、全国に先駆けた、23区で唯一の独自施策として誇ってきたはず。小学生の医療費無料化に23区で最後まで踏み切らなかった大きな理由は、すでにこうした独自の子ども施策を展開していることでもありました。それを、23区の中で突出しているから、と突然言われても、説得力はありません。

 食の安全を活動の重要なテーマにしてきた生活者ネットは、議会質問でも学校給食を再三取り上げてきました。私の最後の議会質問も、学校給食費の公費化を求めるものでした。江戸川区は全く考えていないようですが、これまで取り上げた自治体の他に、名古屋市や江東区など、包括外部監査を取り入れている自治体では、その監査人より、給食費の未納問題、滞納発生による学校間・生徒間の不公平、費用管理体制の不備などに鑑み、早期の公費化への移行が求められています。江戸川区では、包括外部監査自体導入しておらず、速やかに導入すべき。

 今回、保護者負担軽減が廃止されれば、未納が増えることが予想され、学校現場にも支障を来すことが十分予想されます。私費扱いのため強制徴収できない給食費を先生方が肩代わりしている実態も以前から指摘されるところ。その対策はもちろんのこと、一気に給食費が重くのしかかる多子世帯への配慮もなされるべきではないでしょうか? (*公費化の目的は未納問題が第一義ではありません。こちらから。)

 事業見直し、イコール事業仕分けを区当局のみで行い、あとから関係者に報告し、意見だけを聞き置くという姿勢にもそもそも問題ありです。