スーパー堤防ならぬスパコマ、国の課題に区の課題

地元住民主催の院内集会報告

→篠崎公園地区スーパー堤防と道路問題を考える住民の会代表の渡辺清明氏は、西暦1322年から篠崎の地に歴史をきざむ由緒ある妙勝寺の第四十五代ご住職。「現状、十分に安全で安心なまち。スーパー堤防など誰も望んでいない。」と訴えられました。

10日(水)午後、衆議院第二議員会館で開かれた「第2回“不要な公共事業”江戸川のスーパー堤防構想の撤回を求める院内集会」に参加しました。区内で本事業の反対運動を展開している3団体の主催によるものです。

多額の税を投入する事業でありながら、その費用対効果が明らかでないこと、遅々として進まない事業であることは、先の事業仕分けで全国民の知るところとなりました。国の財政がひっ迫している中、このことだけでも、事業の継続性が問われるところですが、今回、当該住民のみなさんが訴えたかったことは、安心で安全なまちづくりすると言いながら、実は住民に転居する選択をさせたり、2度の移転を強いるなど、大切なコミュニティの破壊というまち壊しにつながっているという事実であり、地盤の強度、景観の良さ、利便性、歴史的価値、どれをとっても誇れる地域に本事業を持ち込むことで、まちの安心と安全を逆に奪ってしまう理不尽さです。

さらに、会員でもある地学の専門家・渡邉拓美氏からは、区がすすめている本事業についての問題点が改めて指摘されました。

① つながっていてこそ治水効果を発揮する「スーパー堤防」は、地図上では点に過ぎず、現実には「スーパー細切れ」であり、「スパコマ」という呼び名がふさわしい。
② 局部的に強化された「スパコマ」は、必然的にその両脇に洪水が集中しやすい環境をつくり出し、そこに住む住民に新たな被害をもたらすことになる。完成したとされる平井地区はまさに典型。
③ 本来ならば必要性・緊急性を精査して場所が選定されるべきだが、区ではそれがなされていない。
●スーパー堤防の必要条件である堤防高の30倍という傾斜面積が確保できない平井をあえて選び、緩い傾斜どころか、まち側が垂直な法面(のりめん)になるという危険な街並みにしてしまった。
●今後予定されている北小岩は、区の洪水ハザードマップで最も水害を受けにくい地区として示されている。かつて破堤したこともなく、もともと自然堤防の上に堤防があることから地震に強く、規模も強度も一級のもの。広い河川敷は洪水時には急激な水位の上昇を抑える働きもし、北小岩が破堤する可能性は極めて低い。
●区作成の資料からも、北小岩や篠崎など江戸川沿川より、荒川沿川こそ強固な堤防が必要、など。

スーパー堤防事業の基本的な課題に加え、こうした自治体側の課題について、出席された10名の国会議員のみなさんも大いに関心を示されていました。